ぽっきいブログ

ぽっきいが語るマッチングアプリ体験記

自傷としてのセックスに溺れていく女の話【最終回】

金曜日の夜にるかと待ち合わせをした。

 

きっとその日の夜にるかと待ち合わせをしたら、セックスをすることになってしまう。

るかは当然そのつもりだし、強引に押し切ってホテルの部屋に連れ込まれるだろう。

 

もうスタッフでもないし、成り行きに任せてもいいのかとも思った。

深く考えても仕方ない。夫もいるんだ。彼女が乱交サークルで何をしていようと俺の問題ではない。夫が心配すべき問題だ。

 

その頃の俺は、毎日新規の女性と出会ってセックスするという記録を継続中だった。るかと待ち合わせした日も新規の女性(人妻、32歳)とラブホテルに行き、その後にはセフレの22歳(大学生)、その次に同じくセフレの人妻(28歳)と会った。

 

このままの勢いで22時になったらるかと会う。

 

るかの希望通りセックスしようか。

 

そう考えて、俺は一度部屋に戻り、シャワーを浴び仮眠を取った。その日はるかが一日のうちで四人目のセックスとなる。いつもは6人とか普通にあるのでなんてことはないのだが、気持ちが盛り上がらない。

 

せっかくなら盛り上げて夢中でセックスするひと時にしたいのにな。

 

気持ちを切り替えよう。るかと楽しもう、そう思った。

 

目を覚ましたのは20時30分。自分で作っておいた野菜スープと固くなったフランスパンを食べた。

セフレ活動をするときに必ず着ているのは細身のスニーカーパンツとオーバーサイズのスウェット、そしてレザーのブルゾンにスニーカー。脱ぎやすく、疲れない。

 

そんな本気のセフレ活動の見た目を作った。

 

待ち合わせ場所の某高級ホテルに着くと、ロビーのソファに座った。中国人観光客が大きなスーツケースを持って大声で騒々しくしていた。なぜいつもスーツケースを持ち歩くのか分からないが、やかましい。

 

約束の22時を過ぎたが、例によってるかは現れない。翌週に会う新規の女性からメッセージが来て、アンダーヘアはあったほうがいいのかないほうがいいのかという質問に返事をしたり、一年ほど連絡をしていない52歳の女性から怒りと嘆きのメッセージが届いていたので弁解したりして、時間を潰していた。

 

「ぽっきい」と呼ばれたので顔をあげると、るかがそばに立っていた。笑顔だった。

 

るかは黒いコートを着ていた。コートの中には胸が開いたワンピースを着ている。

 

「部屋を取ってるよ。」とるかが言う。

 

「うん。」俺は言葉が見当たらず、無言でエレベーターに向かった。

 

「緊張する。」部屋まで歩いていく静かな廊下で、るかが言う。

 

部屋に入るとすでに照明が暗い。るかが先にチェックインしていたらしく、部屋を薄暗くしていた。

そしていきなり始まった。

プロ同士のセックスなのでまあ、空中戦みたいなもので。ハメ撮りしてほしいと言うのはカメラを取り出して撮影もする。

 

昔聞いていた通りの絶叫。喘ぎ声とかのレベルじゃない。廊下には丸聞こえだろうし、隣の部屋の人がいるとしたら迷惑だろう。耳が痛い。

なんだかアクロバティックな体位を繰り返して、三時間くらいも対戦していた。気が付くと0時を大きく超えていた。

 

シャワーを浴びてバスローブをまとい部屋に戻ると、テーブルの上にホールケーキが置かれていた。ろうそくに火が灯っている。

「ぽっきい、先週誕生日だったでしょ?」

 

ケーキはこのホテルのものらしい。冷蔵庫に入れてもらっていたとか。

 

昔のことをよく覚えているんだね。

単なるキチガイだと思っていたが、こういうところがるかの素敵なところ。こんな部分があるから俺はるかを忘れずにいたんだ。

 

「ハメ撮りしたもの、私にも送って見せて。」

るかが笑った。

 

その夜は明け方に気絶するまで、るかとおしゃべりをした。もうすでに人妻となっているるかだけど、目の前にいるのはあの頃の20歳のるかのままだった。

 

「乱交サークルなんてもう辞めなよ。」

俺が言うと、るかは「そうね。」と言ってケーキを食べた。

 

「ぽっきいがセフレでいてくれるなら。」

 

俺がるかの居場所になるなら、輩との付き合いを断つなら、そうするよ。輩よりも俺の方がはるかに安全なセフレだろうから。

 

それからずっと、るかとは男女の付き合いをしている。

やはりどこか精神的な疾患か障害が隠れているのか、不安定になることもある。でも昔のような突拍子もない行動はしない。

 

性依存だとしたら、治癒はされていない。相手がぽっきいだけというだけだ。俺が男数人分の役割をこなしているというだけ。

 

るかはまだ若い。これからどうなっていくのか俺も不安だが、責任を持ってかかわっていくしかないよね。

自傷としてのセックスをどう癒すのか、俺には分からないけれど。