スタッフの妹がヤリマン状態になっていたことがあった。まだ20歳なのに貧乏なオジサン達の慰み物になっていて。それが主体的な行動なら言うことはないんだが話をしてみるとリスカ跡をある。自傷としてのヤリマンなわけで。強制的に辞めさせたら反発がものすごくて。
— ぽっきい (@pockysuburbia) 2022年1月23日
今日のブログは、このツイートの件について顛末を書こうと思います。
遠い世界の話だと思ってくれてもいいし、自分の何かに置き換えて読んでみても何か得るものがあるかもしれません。
では、はじまりはじまり。
いまから10年前。スケベ業界のお店を経営していた頃、スタッフ(風俗嬢)から個人的に相談があると言われ、仕事が終わった深夜3時に近所のラーメン屋に一緒に行った。
2月のことで、外は凍えるような寒さだった。
餃子とビールをまず頼み、乾杯をした。彼女はコップに注がれたビールを一気に飲んで、息をついた。
「妹のことなんだけど、ぽっきいの意見が聞きたくて」と言う。
話を要約すると、彼女の妹(20歳)が、メンヘラキチガイヤリマンになっていると。しかも相手の男は、出会い系にいるようなおっさんばかり。おっさんと言っても、金もなく仕事もしているのかどうかも怪しい、小汚いアレばかりだと。
妹はどうしちゃんたんでしょうか、どうしたらいいんでしょうか、そんな話だった。
ぽっきい:「それは売春かなにかなのかい。」
スタッフ:「違うみたいです。タダマンです。」
ぽっきい:「おっさん好きなのか。」
スタッフ:「そんなことなかったはずなんですよ。ジャニーズが好きだし、かわいい男の子が好みって感じだったはず。」
ぽっきい:「ほえ~~」
スタッフ:「妹のiPhoneを覗いてみたら、LINEのやりとりを見つけて。めっちゃキモいんですけど、おっさん複数とプレイしてるみたいで。」
ぽっきい:「いやー・・・」
妹とは俺も数回会ったことがある。事務所のバーベキューや花見に遊びに来ていた。あの頃は高校生だったと思う。姉に似て、線が細く笑顔がこぼれそうな感じの美しい子だった。当然、姉が風俗嬢だとは知っていた。
彼女たちの父親は大手企業の管理職で、年収は2000万円を超えるような人だった。メルセデスのEクラスに乗っているのを目撃したことがある。恰幅のいいいかにも仕事が出来るおじさんという感じだった。
しかしこの父親は仕事が忙しく家に寄り付かない。きっと子育ても母親が一人でやったのだと思う。しかも不倫をしているらしかった。家には一週間に一日帰ればいいほうで。
そのせいかどうかは分からないが、長女は風俗嬢の仕事にどっぷりはまってしまっていた。お金には縁のある家族なのだろう。彼女もまた風俗の仕事で一年に2000万円ほども稼いでいた。母親にバレないようにブランド物などは買わず、新古車で買ったワゴンRに乗っていた。
もしかしたら、不倫するお父さんと、体を売るお姉ちゃんと、そんな機能不全な家族の中で、妹は少しおかしくなったのかもしれない。
スタッフとはラーメンをすすりながら、明日土曜日なので夜に妹を事務所に連れてきなよと言った。
俺が何を話しても、その子は急には変わらない。でもそういう話は初めてではない。というより詳しい。
次の日、約束通りスタッフの妹が事務所に来た。
2011年当時、20歳くらいの女子に流行っていたような、なんというかセシルマクビー的な服を着ていた。甘すぎず、辛すぎず、そんな感じ。名前は、るな(仮名)。
ぽ:「久しぶりだね。げんき?」
る:「げんきですよ」
やけにテンションが高い。
事務所の別の部屋で、るなと話をした。
ぽ:「いろいろと聞いてるよ。おじさんと遊んでいるんだって?」
る:「そうですよー。」
ぽ:「どこで知り合ってんの、そんなおじさんとばかり。」
る:「・・・えー・・・内緒です。」
ぽ:「〇〇(姉)には言わないから。」
そこからうじうじとはっきりしない。ようやく口を開いて言ったのが・・・
る:「風俗やってるんです。」
ぽ:「え!どこで?なぜ?」
姉も知らなかっただろう。勤めている風俗店の経営者は、俺と何度か揉めたこともある反社がかった輩だ。よりによってあいつの店かよと思った。
で、おっさんというのはその経営者のことか?と聞いたら違うと言う。じゃあ誰?
る:「客ですwww」
wwwじゃねえんだよ。
ぽ:「店で本番かましてるってことかい?」
る:「そんなことしたら逮捕されるじゃないですかー。男の家に行くんですよー。」
男の家って。客の家に行くのかよ。で、それ金を貰ってんのか。
る:「もらいませんよー。」
客に店の外でタダマンさせてんのかよ。店が知ったらお前・・・ババアになるまで風俗嬢のままになるぞ。と思ったが、心の声で留めておいた。
姉の想像をはるかに超えた展開だな。
しかも、客のおっさんの家には違う客のおっさんも集まり、集団で肉便器になっているのだと。はあ・・・ちょっと・・・
ぽ:「そういうことは、やめなよ。店にバレても怖いことになるし、バレたら客も大変なことになるよ。」
経営者の顔が浮かぶ。風俗嬢全員とハメる男だ。嬢が何かトラブルを起こすと、すぐに念書を書かせて「今後3年間は辞めません」みたいな約束をさせるので有名だ。店外でハメてるとか、客もバレたらちょっとどうなるか分からない。
る:「やめませんよーwww」
その時、るかが着ているコートの袖口に目をやった。ファーがついた袖口の奥、手首に傷が見えた。
ん?あれ?
間違いない。リスカの傷跡だ。しかも最近のものだろう。なるほど。
ぽ:「るか、お前ね・・・もう店も、肉便器も辞めろ。」
る:「だから、やめませんよーwwwwwwwwwwwwww」
ぽ:「売春婦と痰ツボ便器女の掛け持ちはやめろっていってんの。辞めないのなら俺がお前んとこの社長とオーナーに電話して全部ばらす。お前はきっと山奥に捨てられるし、客はオホーツクのカニ漁船だな。」
カニ漁船に乗せられるのかは知らんが。
る:「なんでそんなことするんですか?」
うるせえ、今すぐ辞めると電話しろ。
絶対辞めません。
この押し問答が2時間くらい続いた。
分かってる。こういう人は絶対に辞めないんだよね。なぜならセックスが自傷行為だから。リスカの代わりに自傷するためにセックスをする。自分の理想とは正反対の、薄汚い貧乏なおっさんの集団に回される。そうすることによって、生と死の境目を見ている気になるのだろう。もちろん死ぬつもりなんてない。自分を粗末に扱うと同時に、そんな自分にしか相手にされないウジ虫男を見下し、それで自分が生きていることを確認している。
こういう子はセックスが好きなわけじゃない。セックスが何か、全く分からないんだよな。セックスに自分の卑屈で暗い感情を投影しているだけ。セックスを屈折した人間性の表現に利用しているだけだ。
結局のところ、るかは泣きわめき、物を俺に投げつけ、卑屈になったり、罵倒したり、延々とする。社長はともかく、オーナーに電話されたら身の危険があることくらい理解しているからだろう。
ちなみにオーナーの電話番号など俺は知らない。
店をやめることだけ、るかがやれ。おっさんの始末は俺がやるから、ということで着地した。
疲れ切ったるかは渋々だが受け入れた。
店を辞めてすぐにここで働いたら、俺も危ないのでそれはできない。でも半年経って、もしやりたいなら俺の元でやれと言った。姉と一緒にだけどな、と思ったけど、姉にはこの経緯は言わないと約束した。
肉便器ごっこをしているおっさんの電話番号を全員分聞き出し、スタッフの男(チンピラ)に一人ずつ職場に電話をかけさせた。
まあ、なかなか怖いことを言ったと聞いた。当然ながら全員、二度と現れることはなかった。
その翌日、姉をまた呼び出し、おおまかな説明をした。風俗をしていることは伝えなかった。
しかしカウンセリングや病院の受診は必要かもしれないよとは言った。
姉は、ぽっきいに任せたいと言った。
その日から、るかはぽっきい事務所でバイトをすることになった。客前に出なければ、前の店の奴らにはバレないだろう。ネット掲示板に晒されることもない。
なんとか説得して病院に連れていけたらなと思いながら、毎日働くるかの横顔を見ていた。
ぽ:「姉妹でうちで働いて、親にバレてないの?」
俺は言ったが、るかが答えた。
る:「父親なんて子供に興味ないからww」
そうなんだろう。でもこの姉妹はどちらもお金がありながら派手なものを身に着けることはなかった。親バレを気にしていたのは間違いない。
るかは時々無断で仕事を休んだ。次の日出勤してくると顔に表情がなく真っ白で化粧もしていなかったりした。
姉はともかくとして、るかの方はいずれまともに就職をして、彼氏が出来たり普通の生活になればいいと考えていた。その前には病院が必要だろうなと思いながらも、切り出せずにいた。
そんな風にしているうちに冬が終わり、桜の時期には全員でまた花見をし、次第に夏になっていった。
嬢たちの服装が薄着になるころ、るかから「彼氏が出来たので、バイトを辞めたい」という申し出を受けた。
俺はちょっと喜んでしまった。でもよく考えたら、決して喜べないものだった。
・・・ということで一話完結で終われませんでした(笑)
次回に続きます。
長くなりますこの話。