仙台のアーケードの中にあるチェーン店のカフェ。
奥のソファ席に向かい合って座り、Twitterのアラフォー裏垢人妻、サエコさん39歳と話をし始めた。
この地味でおばさんっぽい女性を見ていると忘れそうになるが、あの毎日繰り広げられる生々しいエロツイートをしている張本人だ。
やぼったいサイズが合ってないグレーのコートを脱ぐと、ベージュのタートルネックのニットを着ていた。
控えめに言っても、巨乳。
それが魅力的かどうかは別にして。
ああ、なるほど、やはりあの谷間はこの人なんだろう。
ここは褒めたほうがいいのか褒めないほうがいいのか、褒めるとしたら「ネットのエロヤジ」を演じるような褒め方がいいのか、それとも好感度を上げるような褒め方がいいのか、3秒くらい考えた。
いずれにしても俺の興味関心から出てくる言葉ではない。社交辞令であり、リップサービスだ。
そして出てきた言葉が
「わ~お♡」だった。我ながら気持ち悪い。
サエコさんは少しびっくりした顔をして言う。
「意外。結構あからさまなんですね。」
ぽっきい名義では言われることは絶対ないことを言われた。
何があからさまなんですねだよ、あんなド変態なツイートしてるくせに。風呂にも入らず男の恥垢を舐めとるんだろ。
ぽ:「なんで会おうと思ってくれたの。俺に。」
サエコ:「やりとりが丁寧が気がして。」
ぽ:「あ、そう。結構Twitterでは男性に会うの?」
サエコ:「え?わたし全然会わないですよ。あなたが初めてです。」
うーん。どう解釈すればいいんだろうか。
セクレポを繰り返すこの人が、Twitterで会わないと。俺が初めてだとぬかす。
ぽっきいに置き換えて考えてみる。
エロいことや出会いのことについてさんざんツイートしたり、ブログに書いたりする。
でも今は、ネットで出会うこともないし、不特定多数とセックスすることもない。単なる情報発信をしてるだけだ。
この人もそういうことなのか。でも違う、この人の場合。
そこでわざと変化球を投げてみる。
ぽ:「サエコさんのツイートの、おちんこおまんこ言ってるところが好きなんだよね」
サエコ:「ああ、そうなの。彼は奥さんがいる人で、奥さんがあっちの行為を拒否するらしくて、私と会うときはあんな感じになるんです。」
彼?彼氏ってことかよ。既婚者が言うの、それ。
ぽ:「彼氏がいるんだね。旦那さんもいるの?」
サエコ:「・・・そうです。ふしだらですね。」
ぽ:「セックスレスと書いてたけど、どのくらいしてないの」
サエコ:「だいたい8年かな。息子が生まれてからずっと。」
ぽ:「それは辛いね。それが彼氏を作った理由?」
サエコ:「あっちの行為が目的じゃないんですけど、なんでしょう、運命のいたずらですかね」
いやいや、運命のいたずらって綺麗に言うけど、セックスついでの逃げ場所でしょうに。
サエコ:「産後すぐに病気になっちゃって。3年も実家にいたんです。それで夫とは距離ができたというか。仲が悪いわけじゃないんですよ。すごく仕事を頑張ってるし尊敬してます。」
浮気相手の金玉を片方ずつ吸い付いてることを衆人に晒しといて、何が尊敬してるだよ。
ため息でるわ。
まあいい。続ける。
ぽ:「へえ。彼氏とはどんな付き合いなの。たとえば、どこでどんな頻度で会うとか」
サエコ:「家庭を大切にする方なので、そんな頻繁には会いません。3か月に1回かな。」
ぽ:「(それ、セフレじゃないの)・・・そんな頻繁じゃないんだね。家は近くなの。」
サエコ:「東京です。用賀に住んでるんですけど、ご家庭がある方なので待ち合わせするのは鶯谷駅の北口のコンビニの前。」
ラブホテルの目の前で待ち合わせて、金をかけたくもない便利な便器おばさんってところか。
ぽ:「仙台から東京は近いようで遠いね。3か月に1回なら気楽な旅行感覚かな。・・・それでラブホテルにいくわけね」
サエコ:「ラブホテルなんて、わたしふしだらですね」
また出たよ。ふしだらふしだらって、この人ちょっと俺無理かも。ちんぐり返しでアナルと金玉を交互に舐めるんでしょう?それで我慢が出来なくなったところで男があんたを激しく抱くんでしょ?
そんなこと書いといてこいつ何言ってんの。
ぽ:「ラブホテルで何するの」
俺も変化球に見せかけた剛速球を投げる。
サエコ:「それぞれの家庭の悩みとか言いあいますよ。それと、外資系企業でバリバリ働く方なのでわたしの知らない仕事のことを教えてもらったり。年収も2000万円あって世界中飛び回るんですって。」
・・・セックスって言えよ(笑)
しかもそのバカみたいなプロフィール。それ真に受けてるんだ?
浮気相手の惚気自慢をしている自分の滑稽さにこの人いつ気づくんだろう。
しかも、仙台の田舎の既婚のおばさんを相手に、バリバリのビジネスマンがセフレ遊びするわけがないし、本当だとしたら趣味が悪すぎる。
三ヶ月に一度って。
きっしょ。
ぽ:「へえ~すごい彼氏さんなんですねえ。俺なんて年収低いからな~。引け目感じちゃうなあ」
サエコ:「そうですよねえ。感じちゃいますよね。でも彼が特別なので気にしなくていいと思います。」
否定しねえのかよ(笑)
俺の年収知らねえだろうに。
なんだこの無神経なおばさん。肉便器にしてくれる男がいるだけ奇跡だわ。
ぽ:「旦那さんと彼氏とどっちがいい男なの。」
サエコ:「意地悪な質問しますね?」
・・・もう限界が近い。げりべん漏らす15秒前だ。
サエコ:「夫は大切な家族かな。彼氏は・・・私のことどう思われているか分かりませんが、私にとっては大切な彼氏。」
・・・うわあ。こわ。
ぽ:「人に恵まれているんですね」
サエコ:「そうですね、ご縁に恵まれてます!」
・・・吐くよ、俺。
この一連の会話で、サエコさんは随分と気分が良くなってきたようだった。
おっさんみたいだなと思った。自分語りが出来れば上機嫌。
その内容は、Twitterで見つけただっせえおっさんの肉便器。それを彼氏とか言って夢見てるけれど、平たく言うとヤリマン色ボケ妻。自分の悪事を美化することは大得意ってやつ。
そこで俺は急に会話のトーンを変えた。
ぽ:「これから国分町のホテルでセックスしましょうか」
サエコ:「いきなりですね。」
ぽ:「いきなりじゃないですよ。金玉舐めるのが好きみたいなんで、金玉の毛を剃ってきたんですよ。期待してます。」
サエコ:「ホテルは行きますよ。でもふしだらなことは私にできるのかな。自信ないです」
ぽ:「あまり男性経験は多くないの?」
サエコ:「恥ずかしいこと聞くのね」
うぜー・・・
ぽ:「別に今日じゃなくてもいいよ。今度会った時でもいいし。」
サエコ:「迷わせないでください。あなたが決めてください。」
ぽ:「来月にでもしましょう」
サエコ:「・・・そうですか・・・」
一連の会話で俺が気付いたのは、このサエコという人物は、精神的な疾患があるんだろうということ。
会話の中の価値観と感性の軸がふらふらと動き、支離滅裂になっている。
尊敬する旦那、大切な彼氏、と自分の生活を美化するが、実際は風俗嬢でもそんなことしねえよっていうだらしない性生活。
しかも、見ず知らずの俺がホテルに誘うと、ふしだらとか言うわりにホテルに行こうとする。
俺がそんな魅力的な男でもあるまいし、このサエコという人物は、目の前の事象を見ても、自分の心や状況判断をする思考にまで届いていないんだろう。
言っちゃ悪いが、脊椎反射で性生活をしてる。
だらしない。風俗嬢やそのあたりの底辺女でもそんな行動はしない。
でも自分はまともな常識人だとさえ思ってる。
本来は、性的なことに抵抗感と罪悪感があるんだろう。育った環境について掘り下げていくと、おそらくモラハラ系の父親がいるのかもしれない。
中年になるにしたがって、ホルモンバランスの乱れもあってまともな思考ができなくなってしまったのかもしれない。
主体性もない。
論理的な思考も、筋が通った感受性もない。
病気だよ。
早く病院に行った方がいい。
少し同情する。
ぽ:「サエコさんは、とても立派で素敵な人だと思ったよ。だから今度会う時は、ホテルもそうだけど、またいろいろ話をしましょう。」
サエコ:「ありがとうございます。話もいいんですけど、ホテルも楽しみにしてますよ。」
そう言って、サエコさんはトイレに行った。
10分たっても帰ってこない。うんこだろうか。
15分後、大きなマフィンを買って戻ってきた。
それを素手でふたつに割って、俺に差し出した。
サエコ:「話をして頭を使ったから糖分補給ね」
意外とそういうところは子供っぽいんだなと思った。
駅まで見送らず、店の外で別れた。
俺は駐車場まで歩いて行き、乗り込んでからツイッターをまた確認した。
サエコさんがツイートをしているのに気づいた。
こうあった。
“知らない男と話をして興奮した。トイレに行くふりをしてオナニーをし、そのままの手でマフィンを買って二つに割り、男に食べさせた。男は私のことを優しいねと言う。淫女の淫汁まみれの手で割ったマフィンをあなたは食べたのよ”
ほんと、きっしょい。
サエコさんとはその後もLINEをしているが、会いたいというオファーを何度も断っている。