ぽっきいブログ

ぽっきいが語るマッチングアプリ体験記

結婚したいと思った人

俺が30代の頃、この人と結婚しようか真剣に考えた女性がいた。

 

俺と同じ年の女性で、勤務医で歯科医をしている人だった。

当時は俺もエロ活動が多かった時期で、このYという歯科医の女性ともエロの文脈で出会ったのが始まり。

 

初めて会った人とすぐにホテルに行くのが常だったから、その時もいきなりホテルに行った。セックスはとても情熱的でよかったよ。恋愛経験が豊富なんだろうなと思うようなセックス。テクニック云々じゃなくて、情念が伝わってくるようなセックスをする。

 

Yは身長が155センチでぽっちゃりした体型だった。決して美人というわけじゃないけれど、笑顔がとても素敵だった。俺が何か話すたびに、リアクションが良くてさ。笑ったり、真剣に聞いたり、自分の意見を言ったり。頭がとてもいいなって思った。あー、この人何回も会いたいなって思ったよ。

最初にホテルに行った時も、ホテルのソファでお茶を飲みながら何時間も話をしていた。

当然その時はセフレでしかない。それでも関わり続けたいなって強く思う女性だった。

話しやすくて、俺もつい自分のことをしゃべりすぎてしまうくらい。俺はこういう人生だから正直に他人に言うと軽蔑されるような過去をたくさん持っている。重い病気を患ったこともある。何度も会ううちに俺はそんな恥ずかしい過去を全部話すようになった。

Yはその一つ一つに、感情移入しすぎるわけでもなく、そっけなくするわけでもなく、興味と関心を持って話を聴いていた。本当に頭がいいんだなとますます思った。

 

次第にセフレという関係ではなく、休みの日に喫茶店でお茶したり、焼き肉を食べに行くような関係になった。セックスよりも、人としてのYと過ごす時間が大切になった。

でもきちんとした形で、交際しましょうって言葉で伝えることはしなかった。

Yも交際なんて言葉を使わなかったので、俺はそれに甘えていたんだけど、最初はセフレだったしもしかしたら彼氏や夫がいるのかもな、なんて考えたこともあった。

 

でもある日、「実家が漁業なんだけど実家の親がぽっきいに魚をあげると言ってるから実家に車で乗せてって」と言った。

そこは車で5時間もかかる海沿いの田舎町だった。こんな田舎の町で歯医者になれるほど勉強する子が育つんだなと感心しほど、田舎だった。

実家は最近建替えたらしく新しい家だった。家の中から母親らしき人が出てきて俺に挨拶した。いつも仲良くしてくれてるみたいでって。

それで発泡スチロールに大量に入った烏賊をくれた。

家に入ってと言われて中に入ると、まあ田舎の家の雰囲気をしてるんだけどね、Yがお茶をいれてくれて飲んだ。

病院ではいつも優秀そうに働くYとは別人のようにリラックスしていて、田舎娘って感じになっていた。

母親に見送られてまた車で5時間かけて帰った。

 

Yは本当に素敵な女性なんだなってずっと思いながら運転してた。会話が途切れないし、いつも楽しくさせてくれる。

こんな女性が自分の妻だったらどうなんだろうって俺は次第に思い始めた。そのうち開業もするかもしれない。そうなったら俺も手伝ったりできる、開業資金も俺が準備したり。そんなことを喜んでやる自分が簡単に想像できて、やっぱりYが俺に必要だなと思うようになった。

 

結婚。この人とめざしてみようかなと思った。

 

でも不幸なことに、その頃俺は大きなトラブルを抱えてしまい人を避けるように生きなきゃならなくなった。この町からは出ていかなきゃ許されないような状況になっていた。

当時はまだガラケーの時代で、Yにメールをすることも少なくなってしまい、かと言ってYに今のトラブルを話す勇気もなかった。嫌われるに決まってると思ったからな。

 

Yとは結果的に疎遠になってしまい、俺は街を出て引っ越した。

付き合ってもいないから、別れることもない。そんな状況。

 

今だったらそんな過ちはしない。Yにしがみついたと思う。でも若かった俺にそんな気持ちの余裕がなかった。

今でも、Yと結婚できていたら良かったなと思うことがある。あれから10年以上も経つ。ネットで検索したりもしない。Yを傷つけただろうから、俺は思い出すことすら罪悪感があるほどだ。

 

☆☆☆☆☆☆

 

最近、マッチングアプリの攻略のためのブログを書こうと思って、マッチングアプリをいくつか登録してやってみた。

 

いわゆる婚活アプリというやつね。

 

そこにいたのは、魅力のかけらもない、結婚に恋した売れ残りのおばさんばかり。

結婚が至上の目的になったおばさんばかり。

 

「子供がいます。それでもいい方だけメールください」とか

 

「離婚歴のある方は、その理由を明確に申告してください」とか

 

平気でそういうことを書いてしまう人たち。

 

俺にもそんな女性からメールがたくさん届いた。

 

俺は試しにこんな返事をしてみた。

「オレは身体に障害があります。それでもいいならお返事ください」

 

返事は誰一人なかった。

つまらない人間ばかり。つまらない自分の人間性のサイズに、ちょうど合う相手しか選べない人ばかり。

自分をむなしく飾り立て、派手に見せようと腐心する人たち。

他人の距離を縮めることもできず、上っ面の会話しかできない人たち。

 

ブログのために覗いた世界だったけれど、吐き気がするほど苦手だった。

 

あの若い頃、Yの人懐っこい笑顔と、楽しかった会話を思い出してしまった。

 

結婚って、あんな風にはやる気持ちを抑えきれなくなってするものだと思ってる。

そう思わせてくれたYが今幸せであってほしい。

 

あんな素敵なYだから、きっといい旦那さんがいるだろう。

 

婚活って、名前も人も、大嫌いだよ。